ドラえもんにいろいろな道具が出て来て夢をかなえてくれる。夢のベースは僕自身の願望なんですね。殻を破る努力が必要になってくるんですけれど、大変恐ろしいことなんです。
たくさんの「面白い断片」を持つ
漫画を分解してみますと、結局はは小さな断片の寄せ集め。本を読んだりテレビや映画を見たり、新聞を読んだり人と話したり見たり聞いたり、絶えずピッピッと感性に訴えるものがあって、あれが使えそうこれが使えそうと 捨てたり組み合わせしたり、そういう作業の結果 1つのアイディアがまとまってくるんです。なるべく面白い断片を数多く持ってた方が「価値」になるわけです
漫画家は、普通の人であれ
人気漫画をどう描いたらいいのか、一言で言えたら苦労しない。ただ一つ言えるのは「普通の人であるべきだ」ということです。体全体からにじみ出た普通の人の作品が、読者の求めるものに合致した時、人気漫画となるわけでありまして。つまり、大勢の人が喜ぶ漫画は、共感を持つ部分が、その漫画家と読者の間にたくさんあったということ。だからまず最初、普通の人であれというのは、そういう意味なんです。
自分が楽しみ、読者が楽しむ
「やはり殻をやぶる努力が必要になってくるんですけど、オバQとかああいうものばかりやってて、それの枠から出るのは怖くてしょうがないんです。今までこういう描き方でやってて受けてたんだから、それを踏み外すと言うことは受けなくなると言うことで大変恐ろしいことなんです」だが、編集者に促され、大好きだったSFをテーマに、大人向けの漫画を描いたとき、藤本の中で1つの気づきが生まれる。それは、「自分が描きたいものを描くのが漫画」だということ。
周りからの目よりも何よりも、自分の心の赴くままに描くことが面白い漫画につながる。「僕はとても楽しくドラえもんを書きました。みなさんにも楽しく読んでいただけたらうれしいと思います」
子どもは成長するにつけ、彼らを取り巻く日常性の中に順応していくわけですが、夢と冒険にあこがれる心は失ってほしくないと思います。
プロフェッショナルとは:
漫画家がベテランになると、コツがわかってきます。
このときが一番の危機なのです。
自戒の意味も込めていうのですが、漫画は1作1作初心に帰って
苦しんだり悩んだりしながら描くものです。
お互い頑張りましょう。